佐藤由美子の音楽療法日記

Journey Into Wholeness

音楽療法について知らなかった10のこと

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デイサービス木楽舎での「体験音楽療法」(11/14/2014)

皆さんは、「音楽療法」という言葉を聞いたことがありますか?(→「音楽療法 Q&A」)。もし、音楽療法という言葉は聞いたことがあっても、「音楽療法士」という専門職があることは知っていますか?

私はこの10年間、ホスピス緩和ケアを専門とする米国認定音楽療法士として、アメリカのホスピスで音楽療法を実践してきました。今日は音楽療法に関して、皆さんからよくあるご質問にお答えします。

  1. 音楽療法というと、心のケアが中心になるのですよね?

私の専門とするホスピス緩和ケア音楽療法において、心のケアは大切な目的の一つです。しかし、音楽療法の目的はクライアント(対象者)によって違ってきます。

例えば失語症の患者さんとの音楽療法であれば、音楽を使ってその人が言葉を話せるようになることが目的ですし、自閉症のお子さんとの音楽療法であれば、その子が音楽を通じてコミュニケーションをとれるようになることが目的かもしれません。

ですから、心のケアは音楽療法における目的の一つではありますが、その目的はクライアント(対象者)によって変わるということです。

  1. 具体的に、どんな治療を行うのですか?

音楽療法をするにあたって、最初にアセスメントというものをします。アセスメントとは、音楽療法を委託された患者さんに音楽療法が適しているか、その人が何を必要としているかを判断します。その結果に基づいて、治療法を考えます。

例えば、不安やストレスを軽減することが必要な患者さんがいるとします。その不安の原因が、「息切れ」などの身体的なものからきている場合、音楽療法を使ったリラクセーションをします。また、その不安が人間関係等の悩みが原因の場合、音楽を使っての心のケアやカウンセリングをします。

  1. 音楽療法が効果的なタイプってどんな人なのでしょうか?

基本的に音楽療法は誰にでも役に立ちます。しかし、誰もが音楽療法を受けたいというわけではありません。まず、その人に音楽療法を受けたいという気持ちがあるかが重要です。

  1. 音楽療法ではどんな楽器を使いますか?それはやはり、効果があるからですか?

私は音楽療法のセッションでピアノ、ハープ、ギター、ウクレレ、ネイティブアメリカンフルートなどを使います。

音楽療法士にとって音楽は道具箱の道具です。大工さんが家を建てるのにたくさんの道具を使うように、音楽療法士もセラピーをするために、さまざまなかたちで音楽を活用できなければなりません。音楽という強力な道具をいかにうまく使いこなせるかが、そのセラピーの結果の良し悪しを決めるのです。

  1. なぜ、音楽療法士という仕事を選ばれたのですか?

バージニア州にあるラッドフォード大学の大学院に入学した際、たまたま音楽療法の学部があったのです。そこで、現在でも音楽療法を教えているジム・ボーリング教授に出会いました。彼の授業を初めて聞いた日、自分が探し続けていたものを見つけたと思ったのです。

  1. なぜ日本ではなく、アメリカから?

今日の音楽療法がはじまったのは第二次世界大戦後の欧米です。現在でも音楽療法は日本よりアメリカの方が普及しています。

  1. 普通に音楽を演奏するだけではない、特別な“聴かせ方”とかあるのでしょうか?

音楽療法で音楽を使うとき、患者さんに音楽を「聴かせる」のではなく、こちらが患者さんに合わせた音楽を弾くのです。患者さんの気分、感情、呼吸のテンポなどに合わせて、唄ったり楽器を弾いたりします。だからこそ、生の音楽を使うわけです。

例えば、患者さんがさみしい気持ちのとき、楽しい音楽を使って元気づけさせるのではなく、患者さんの気持ちを代弁するような曲を使って、その人の感情と合わせるわけです。そこが、単に音楽を演奏するのと、音楽をセラピーの一環として使うのとの違いです。

  1. 逆に、私たちが普段音楽を聴く時に、よりリラックスできるような聴き方ってありますか?

まずは自分に合った音楽を選ぶことが大切です。どんな音楽がリラックスできるかには個人差がありますので、リラクセーション用のCDが必ずしも自分に合うとは限りません。

  1. 今月発売になった『ラスト・ソング 人生の最期に聴く音楽』(ポプラ社)には、「聴覚は最後まで残る感覚」という話がありますが、これは本当ですか?

本当です。私自身、最初は半信半疑でした。なぜそんなことが断言できるのかと思いました。しかし、本の最初のストーリーに出てくるテレサという患者さんと出会ったことで、聴覚は最後まで残る感覚なのだと実感しました。

  1. 音楽療法では、やはり西洋音楽を使うのですか?

そんなことはありません。音楽療法では、クライアント(対象者)のニーズや能力に応じて、さまざまな音楽を使います。

例えば、アメリカ人の患者さんに日本の歌を唄うこともあります。『ラスト・ソング』には患者さんやご家族との10のストーリーを紡ぎましたが、その中でアメリカ人の患者さんに日本の歌を使ったケースも出てきます。

歌詞がわからないほうがリラックスできる場合や、歌詞がわからなくても音楽が心に届く場合があるからです。

今まで様々な国籍の患者さんを看てきましたが、音楽は国境を超えると思いますし、どんな音楽であってもその人の心に響くものであれば、セラピーで使えると思います。

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